2025-03-26
近年、クラウドの普及により企業のシステム構築や運用が大きく変化しています。中でも Azure Functions はサーバーレスアーキテクチャの代表的なサービスとして注目され、従来の App Service との違いや各プランのメリット・デメリットを理解することが、Azure を利用したシステム構築の成功に欠かせません。本記事では、Azure Functions の概要、料金体系、従量課金プランの制約、固定料金での運用方法、専用プランや Elastic Premium プラン、さらには最近登場した Flex プランについても詳しく解説します。Azure 構築や Azure ベンダーを検討している方にとって、実践的な情報をお届けすることを目的としています。
Azure Functions は、Microsoft Azure が提供するサーバーレスコンピューティングサービスです。開発者はインフラ管理の手間を省き、コードの実行に専念できるため、迅速な開発やスケーラビリティの向上が可能となります。イベントドリブンなアーキテクチャにより、HTTP リクエスト、タイマー、キュー、Blob ストレージなど、様々なトリガーに応じて自動的に処理が実行される仕組みが大きな特徴です。
従来の App Service は Web アプリケーションのホスティングに特化しており、常駐型のプロセスを前提としていますが、Azure Functions はリクエストに応じた一時的なプロセスを効率よく立ち上げるため、リソースの最適化やコスト削減に寄与します。この違いにより、用途やシナリオに合わせた最適なサービス選択が可能となります。
Azure Functions の料金体系は、利用形態に応じて大きく分けて以下のプランがあります。
参考:Azure Functions のホスティング オプション
それぞれのプランは、システムの規模やアクセスパターン、パフォーマンス要件に応じて選択する必要があります。料金計算の詳細については、Azure の公式ドキュメントや料金シミュレーターを活用し、事前に試算することをお勧めします。
従量課金プランは、使った分だけ料金が発生するため、初期投資や固定費が少ない点が魅力です。しかし、いくつかの制約事項も存在します。
これらの制約事項を理解した上で、システムの要件に合わせたプラン選定を行うことが、Azure Functions の有効活用には不可欠です。
Azure Functions の従量課金プラン ホスティング
従量課金プランの制約を回避するために、固定料金での運用を検討するケースもあります。専用プラン(App Service プラン)や Elastic Premium プランを利用することで、リソースの予約が可能となり、コールドスタートやスケーリングの問題を軽減できます。
専用プランは、常時稼働する環境が必要なシナリオに向いており、特にバックグラウンド処理や長時間実行するバッチジョブなどでその効果を発揮します。一方で、固定料金で運用するため、利用状況に関わらず一定の費用が発生するため、トラフィックが少ないシナリオではコストパフォーマンスが低下する可能性もあります。
ただし、既に App Service を運用している環境であれば、 OS の種類(Windows / Linux)が一致すれ場合に App Service で使用している App Service Plan 上で Azure Functions を稼働させることもできるので、実質的にコストの増加はほぼ無く運用開始することも可能です。
Elastic Premium プランは、固定料金に加え、自動スケーリング機能を持ちながら、コールドスタートを解消する仕組みが備わっているため、より柔軟な運用が可能です。これにより、予測不可能なトラフィック増加にも即座に対応でき、利用状況に応じたコスト調整がしやすくなっています。
Azure Functions の専用プラン、すなわち App Service プラン上での実行は、特に常時稼働や一定のパフォーマンスを維持したいシナリオに適しています。専用プランでは、事前に確保された仮想マシン上でコードが実行されるため、以下のようなメリットがあります。
ただし、固定料金であるため、利用状況に関わらず一定のコストがかかります。特に、トラフィックが少ない時間帯でもリソースは稼働しているため、無駄なコストが発生する可能性がある点は注意が必要です。システム全体の運用コストを考慮し、専用プランの利用を判断することが重要です。
Azure Functions の専用ホスティング プラン
Elastic Premium プランは、従来の従量課金プランと専用プランの長所を組み合わせたハイブリッド型のプランです。主な特徴は以下の通りです。
Elastic Premium プランは、特にアクセスの変動が激しいシステムや、リアルタイム性を重視する Web API、またはバックエンドのイベント処理などに向いています。
Azure Functions の Premium プラン
本記事では、Azure Functions の概要から各プランの詳細、さらには従量課金プランの制約事項や固定料金での運用方法、専用プランおよび Elastic Premium プランの特徴について解説しました。さらに、最近登場した Flex プランにも触れ、ユーザーのニーズに応じた柔軟なリソース管理が可能な点を紹介しました。
Azure Functions は、その柔軟性とスケーラビリティにより、従来の App Service では実現が難しかったユースケースにも対応できる強力なサービスです。各プランのメリットとデメリットを十分に理解した上で、システムの要件やビジネスニーズに最適なプランを選定することが、効率的な Azure 構築や運用の鍵となります。
Azure ベンダーとしての信頼性を高めるためにも、最新のプラン情報や料金体系を常にチェックし、最適なリソース管理を実現していくことが重要です。今後も進化し続ける Azure Functions を上手に活用し、競争力のあるシステム構築を目指してください。
以上、Azure Functions の各プランとその特徴、App Service との違いについて詳しく解説しました。皆様の Azure 利用の一助となれば幸いです。
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