Azure 2026.10.23

Microsoft Fabricとは?データ活用を一つにつなぐ統合分析基盤をわかりやすく解説

Microsoft Fabricとは?データ活用を一つにつなぐ統合分析基盤をわかりやすく解説
企業内に蓄積されるデータは、業務システム、SaaS、ファイル、データベースなど、さまざまな場所に分散しています。これらを分析に活用するには、データの収集・保存・加工・可視化を担う複数のサービスを組み合わせる必要があり、環境の構築や運用が複雑になりがちです。

Microsoft Fabric(マイクロソフト ファブリック)は、こうしたデータ活用の一連の流れを、一つの環境で実現するための統合分析プラットフォームです。本記事では、Microsoft Fabricの概要と主な特徴、実際のデータ基盤で使われる構成例について、Fabricでのデータ基盤構築実績を持つウィズワンダーが解説します。

Microsoft Fabricとは

Microsoft Fabricは、データの取り込み、保存、加工、分析、レポート作成までを一つの環境で扱える、SaaS型の統合分析プラットフォームです。

Data Factory、Data Engineering、Data Warehouse、Real-Time Intelligence、Power BIなど、データ活用に必要な機能が統合されています。従来は個別に構築・連携していたデータ基盤とBI環境を、共通の操作性と管理体系のもとで扱えることが大きな特徴です。

また、Microsoft Fabricの基盤には「OneLake」と呼ばれる組織共通の論理データレイクがあります。各機能がOneLake上のデータを共有することで、用途ごとにデータを複製したり、サービス間の連携を個別に構築したりする負担を抑えられます。

Microsoft Fabricの主な特徴

従来のように複数のサービスを個別に組み合わせる構成と比べると、Microsoft Fabricには次のような違いがあります。

従来の構成とMicrosoft Fabricの比較図。従来はデータ取込ツール、データウェアハウス、分析環境、BIツールを個別に組み合わせ、データもコピーされて分散する。Microsoft Fabricでは取り込み、加工、分析、可視化の機能がOneLake上の同じデータを共有する

1. データ活用の流れを一つの環境に統合

データの収集、加工、分析、可視化までをMicrosoft Fabric内でつなげられます。複数の製品を個別に導入する場合と比べ、システム構成や権限管理、運用監視を整理しやすくなります。

データエンジニア、データサイエンティスト、BI担当者など、役割の異なるメンバーが同じプラットフォーム上で連携できる点もメリットです。

2. OneLakeによるデータの一元管理

OneLakeは、Microsoft Fabricの各ワークロードから共通して利用できるデータレイクです。Microsoft 365におけるOneDriveのように、組織の分析データを集約する場所として機能します。

部門や用途ごとにデータが分散する「データサイロ」を抑え、必要なデータを発見・共有・管理しやすい環境を構築できます。

3. Power BIとのスムーズな連携

Microsoft FabricにはPower BIが統合されています。収集・加工したデータを同じプラットフォーム上でレポートやダッシュボードにつなげられるため、データ準備から可視化までの流れを短縮できます。

データ基盤とBI環境を別々に構築する場合に比べ、データの受け渡しや運用の複雑さを軽減しやすくなります。

データ基盤を構成する3つの機能

Microsoft Fabricには多くの機能がありますが、ここではデータ取込基盤の構築で中心となる「レイクハウス」「パイプライン」「ノートブック」を紹介します。

レイクハウス

レイクハウスとは、データレイクの拡張性とデータウェアハウスの分析機能を組み合わせたデータ管理の考え方です。Microsoft Fabricの「レイクハウス」は、この考え方を実装した機能で、データはDelta Lake形式のテーブルとしてOneLakeに保存されます。

構造化データと非構造化データを同じ場所に保存し、Apache SparkやSQLから分析できます。収集したデータを柔軟に保持しながら、BIで利用しやすいテーブルとして管理できるため、データエンジニアリングと分析の双方に適しています。

パイプライン

パイプラインは、データのコピーや処理を一連のワークフローとして実行・自動化する機能です。

たとえば、業務システムからデータを取得し、レイクハウスへ保存し、加工用のノートブックを実行するといった処理を順番に組み立てられます。スケジュール実行やエラー時の分岐、実行状況の監視にも対応しており、定期的なデータ更新を安定して運用できます。

なお、ノーコードでデータを加工したい場合は、Power Queryの操作感で使える「Dataflow Gen2」も選択肢になります。

ノートブック

ノートブックは、データ処理や分析のコードを記述・実行するための機能です。PySpark(Python)、Spark SQL、Scala、SparkRなどを使って、データのクレンジング、結合、集計、変換といった処理を実装できます。

Apache Sparkによる大規模データの分散処理に対応しているほか、小規模なデータ向けにSparkを使わないPythonノートブックも利用できます。処理内容と実行結果を一つの画面で確認できるため、開発や検証を進めやすく、複雑なデータ加工にも柔軟に対応できます。

メダリオンアーキテクチャとは

データ基盤では、取り込んだデータを段階的に整理し、品質を高めていく「メダリオンアーキテクチャ」がよく利用されます。Microsoft Fabricでも推奨されている設計パターンで、データを主に次の3層に分けて管理します。

  • Bronze(ブロンズ)層:データソースから取得した生データを、そのままに近い形で保存する層
  • Silver(シルバー)層:欠損や重複の除去、形式の統一、データ同士の結合などを行う層
  • Gold(ゴールド)層:BIレポートや業務分析で利用しやすい形に集計・整理する層

たとえば店舗の売上データであれば、次のように段階的に整えていきます。

メダリオンアーキテクチャのデータ例。Bronze層には重複や形式の違い、表記ゆれ、欠損を含む生データ、Silver層では重複・欠損を除去し形式と表記を統一したデータ、Gold層では月別・店舗別に集計したデータを保持する

生データを残したまま段階的に加工するため、問題が発生したときに処理を追跡しやすく、分析用途に応じた再加工にも対応しやすくなります。また、各層の役割が明確になることで、データ品質と保守性の向上も期待できます。

ウィズワンダーのMicrosoft Fabric構築実績

ウィズワンダーでは、Microsoft Fabricを活用し、BIツール向けのデータ取込基盤を構築した実績があります。

この案件では、レイクハウス、パイプライン、ノートブックを組み合わせ、メダリオンアーキテクチャに基づくデータ基盤を構築しました。

パイプラインで各データソースからデータを取り込み、レイクハウスに保存。ノートブックによるクレンジングや変換を経て、BIツールから利用しやすいデータへ段階的に整備する構成です。データの取り込みから加工、BIでの活用までを見据え、継続的に運用できる基盤として設計・構築しました。

レイクハウス、パイプライン、ノートブックを組み合わせたメダリオンアーキテクチャのデータ取込基盤の構成図

※お客様の情報に関わるため、案件の詳細は非公開としています。

Microsoft Fabricの導入やデータ基盤の構築をご検討中の方は、お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください(初回のご相談は無料です)。

Microsoft Fabricはどのような企業に向いているか

Microsoft Fabricは、たとえば次のような課題を持つ企業に適しています。

  • 社内の複数システムにデータが分散している
  • ExcelやCSVを使った集計作業を減らしたい
  • Power BI向けのデータ基盤を整備したい
  • データの取り込み、加工、可視化を一つの環境で管理したい
  • 将来のデータ分析やAI活用を見据えた基盤を作りたい

一方で、データ量、更新頻度、既存システム、運用体制によって適切な構成は異なります。導入前には、利用目的やデータの所在、セキュリティ要件、コストを整理したうえで設計することが重要です。

まとめ

Microsoft Fabricは、データの取り込みから保存、加工、分析、Power BIによる可視化までを一つにつなぐ統合分析プラットフォームです。OneLakeを中心に、レイクハウス、パイプライン、ノートブックなどの機能を組み合わせることで、データを継続的に活用できる基盤を構築できます。

参考資料

弊社のご紹介

ウィズワンダーは、福岡本社・東京オフィスを拠点に、AzureやMicrosoft Fabricを活用したシステム開発・データ基盤構築を行っている会社です。Microsoft Fabricを利用したBIツール向けデータ取込基盤の設計・構築実績があります。

Microsoft Fabricの導入や、Power BIと連携したデータ基盤の構築を検討されている方は、お気軽にご相談ください。導入前の構成検討からデータ基盤の設計・構築まで支援いたします。北海道から九州まで全国のお客様をご支援しており、九州でMicrosoft Fabricの相談先をお探しの方も、ぜひお問い合わせください。初回のご相談は無料で承っております。

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